-こちらのお店は移転オープンしています-
昨年6月、代々木上原駅からほど近い元代々木町の一角に、服好きが集うハイセンスなお店が誕生したのをご存じでしょうか?
その名も「FRONT(フロント) 11201」。アメリカで買い付けたヴィンテージのアパレルやジュエリー、雑貨をはじめ、オリジナルウェアやグッズを販売するヴィンテージストアです。
実はここ、ブルックリンに店舗を構える「Front General Store(フロントジェネラルストア)」の日本第1号店としてオープンしました。
店名の「11201」は郵便番号。マンハッタン島からイースト川を挟んだ対岸、ブルックリンのダンボというエリアを指しています。
ブルックリンの店舗があるのも、このダンボというエリア。オーナーは日本人で、オープンしたのは今から約10年前のこと。
なぜ、日本人がブルックリンでヴィンテージストアを始めることになったのか。日本での出店にあたり、代々木上原を選んだワケとは? ストアの始まりから取り扱いアイテムまでご紹介します。
原点はフリーマーケット
オーナーのお名前は西山育貴(にしやま・いくたか)さん。現在はブルックリン在住の共同オーナー、米川さんとともに日米の2店舗を運営しています。
2017年にはGQ誌の『The 25 Best New Stores in the World』に選定されるなど、いまや世界中から注目を集めるこのストア。その始まりはフリーマーケットだったと言います。
「『Brooklyn Flea」』というフリーマーケットに出店したのがきっかけでした。今、ブルックリンの店長を務めている者が主催者を紹介してくれて。そのフリマで、アメリカ国内で買い付けた服やジュエリーを販売していたら面白く、やがてショールームを構えるようになり、最終的に店舗をオープンしたという感じです」と西山さん。
当初、アメリカ国内のアンティークマーケットなどをひとつひとつ回っては、アイテムを買い付けしていたそう。
「フリマを始めた当時は、ブルックリンは今ほど人気のエリアではなかったんです。でも、時代の流れとともに、来場者が増えてきて。そうこうしているうちにリーバイスやラルフ・ローレンのデザイナーなどが顧客として来てくれるようになったんです。もう、そうなったら需要に合わせてショールームを構えようかということで、パートナーの米川と相談し、今のFront General Storeがあるビルの8階でショールームを始めました」
フリーマーケットの開催は週末。それ以外の日にもプロのバイヤーやデザイナーなどに商品を見てもらおうと、ショールームをオープン。これが反響を呼び、やがてはストアを構えることになりました。
「僕は日本のデザイン学校を卒業したので、服そのものに関する知識はありましたが、アパレルの仕事に触れた経験はありませんでした。その点、パートナーの米川はセレクトショップで5年ほど働いた経験があったので、アパレルの仕事に対する知識が豊富。そうして2人の強みを活かしていきながら、ストアを運営していったんです」
プロと一般層の違い
いざ営業を始めると、西山さんたちはとあることに頭を悩ませました。それが、プロのバイヤーやデザイナーと、一般のお客さんが求める商品像のギャップ。当初はそのバランスが、難しく感じた部分だと言います。
「ヴィンテージが好きな人と、ファッションが好きな人。実は両者には違いがあって。前者の顧客は、日本でもトップクラスのヴィンテージストアのオーナーたちだったりするんですね。だから、商品の生産された時代や背景、生地の質感などをシビアにチェックする。一方で後者のお客さんはこっちが高い値段を付けている商品に対し『これ、なんでこんなに高いんだろう』と思ったりする。そのあたりにギャップを感じましたね」
西山さんとしては、一般客にも喜んでもらえる店にしたい。しかし、なかなか思い通りにハマらない。この時期には、ダンボという土地でヴィンテージストアをオープンしたのは間違いだったのかと考えたこともあったそうです。
「でも知名度が上がるにつれて、お客さんのパイが全体的に増えていきました。それこそ、GQやほかの媒体で取り上げてもらったおかげもあって。ホッとひと安心しましたね」
コロナがきっかけとなり日本に出店
順調そうに思えたストアの運営にピンチが訪れます。2020年、世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるい始めました。
ニューヨーク市の要請により3 〜7月の中旬まで、店のクローズを余儀なくされます。
今後、アメリカでビジネスを続けられるかどうかわからない。そんななか、アメリカの店舗の手助けになればと、西山さんは日本での出店を決めました。
その場所として選んだのが代々木上原。実は、この土地に決めたのに明確な理由はなかったそうです。
「理由を挙げるとすれば、建物の雰囲気と、裏通りに面した立地でしょうか。天井が高く、モダンな建物は珍しいので。あとは…そうですね。代々木上原の落ち着いた雰囲気や、街の回転の速度というか。その辺りが自分たちにとってちょうどいいと思いました」
日本のお客さんは服が好き
客層について尋ねると、「日米で全く違うと思います」と返答が。
「ブルックリンの方が、客層は幅広い感じですね。本当にいろんなお客さんがいます。それこそアパレルブランドのデザインチームの方々から、近所のおばあさんまで。ブルックリンの方が店舗面積は2倍以上あって、雑貨が多いのも理由かもしれません。日本のお客さんは、ファッションに対して知識がある印象ですね。服が好きな人が多い。そういった意味で、客層はかなり異なると思います」
ターゲットが異なると店舗の運営が大変かと思いきや、意外とそうでもないのだとか。
「その違いを見るのが楽しいんです。まだここ(FRONT 11201)をオープンして1年ちょっとなので、今は『日本でのビジネスを勉強させていただいている』という感覚でしょうか。学ぶことが多いですね」
セレクト&オリジナル商品のこだわり
店頭に並ぶのは、メンズ、レディース、ユニセックスの服。そしてメキシカンジュエリーや雑貨類。
どれも西山さんやほかのスタッフこだわりのセレクトで、そのセンスに惚れ込んで連日多くの服好きが来店します。
「店の構成としては、B1階がメンズとユニセックスの服、雑貨、オリジナル商品。1階がレディースとユニセックスの服、雑貨、ジュエリー、そしてオリジナル商品となっています」
1階には、日本では珍しいメキシカンジュエリーが多数展示されています。
「主張の強いサイズ感や、特徴的な彫りが入っているのがメキシカンジュエリーの魅力。ジュエリー目当てで来店される方も多いですよ」
「1階のレジ下のケースはゴールドのアクセサリー類。14Kを中心に取り揃えています」
雑貨はアロマやキャンドルなど、生活を潤してくれるお洒落な小物ばかり。服選びと同じように、FRONT 11201の審美眼をクリアしたものだけが並んでいます。
そのほか、オリジナル&セレクトのアパレルにもこだわりが。
「たとえばこれは、オリジナルのロングスリーブTシャツ。リブの編み方や腕周りの幅、そして着丈の長さなど。ディテールをどんどんアップデートしながら、生産を重ねるごとに改良しています」
「アメリカではウケたものが、日本では上手くいかなかったり。もちろん逆も然りですね。そのあたりは商品によって全然違うので、ちょうどいい塩梅を探るのが楽しかったりします」
セレクトのヴィンテージアイテムも、それぞれ1点ものだからこその魅了を備えています。
ブルックリンからやって来た、日本人オーナーが営むヴィンテージストア。
店頭に並ぶのは、こだわりの服やジュエリー、雑貨ばかり。
ほかの人と被りたくない、上質かつ個性の強いアイテムが好きな方はぜひ訪れてみてください。
毎日のお洒落が楽しくなる服やジュエリーに、きっと出会えるはずです。
FRONT 11201(フロント 11201)
【新住所】東京都渋谷区元代々木町4-5 クレアトウール 1F(2024年4月13日より)
【旧住所】東京都渋谷区元代々木町21-9 Silhouette104(2024年4月12日まで)
【営業時間】13:00 – 19:30(土~20:00、日12:00~19:00)
【定休日】火曜 ※最新のスケジュールはInstagramを確認
【WEB】HP / Instagram
【お問い合わせ】info@front11201.com
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