代々木上原駅の東口を出て、西原の住宅街側へ向かうこと徒歩2分。
歩いていると、「東京衣裳」という看板を目にしたことがある人も多いのではないのでしょうか。
こちらの東京衣裳はテレビや映画、演劇やお祭りなど、日本中のあらゆる”衣裳”が必要となるシーンで活躍している会社。
一般向けにもレンタルを行っているので、「利用したことがある!」という人もいるかもしれません。
今回は「衣裳を通して感動を伝える」をテーマに掲げる同社の代表と、レンタル事業部で働く社員にインタビューを実施。その成り立ちから現在に至るまで、どんなことをしている会社なのか教えてもらいました。
半世紀以上にわたり映像や演劇などの世界をサポート
代表取締役社長の川田真之さん
――まずは御社の成り立ちについて教えてください。
川田さん:もともとは私の祖父が、現在の弊社の前身となる「東京衣裳部」を昭和8年(1933年)に創業しました。
そこから映画や演劇などの衣裳を展開していくなかで、昭和26年(1951年)のテレビ放送開始と同時に、テレビ局に対して衣裳を出していたら需要の高まりもあり、各局に常駐するよう依頼があり、番組衣裳を担当することになったと聞いています。
川田社長の祖父で創業者の故・川田藤一郎さん
――おじいさまが始められた事業なのですね。
川田さん:はい。その事業が現在でも弊社の基幹となっています。
衣裳は現代や時代物、和洋を問わず、幅広いニーズに合わせて展開。栃木県に倉庫があるのですが、そこに約20万点ほど衣裳を保管しています。もちろん、たとえば映画製作などで「こんな衣裳が作りたい」というオーダーがあれば、ご要望を聞いて新たに作っていますよ。
――たとえば一般の方が想像しやすいテレビでは、どんな番組で衣裳を提供されているのでしょうか?
川田さん:たとえばバラエティですよね。コントやものまねの衣裳など。テレビで登場するバラエティ番組のうち90パーセントほどが弊社の衣裳です。あとはドラマ。こちらは30パーセントくらいでしょうか。NHKや民放キー局に弊社の衣裳部屋を置かせていただいており、それぞれ10〜25名ほどが常駐しています。
――そのほかは舞台などでも提供されている?
川田さん:ええ。オペラや演劇、テーマパークのショーなどですね。あとは大小に関わらず、お祭りなどでも時代物の衣裳をよく提供することがあります。映像に限らず、幅広く展開していますよ。
テレビマンとしてキャリアをスタート
――川田社長は最初から家業に入られたのでしょうか。
川田さん:いえ、私は大学を卒業した後は日本テレビに入社しました。
大学は上智大学の文学部新聞学科というマスコミ専門の学科。そこで学生生活を送りながら、ずっと「テレビの仕事をやりたいな」と考えていたんです。
大学時代はゴルフ部で、ゴルフが得意だったこともあり、入社後は当時の社長の意向で営業局へ。本当はスポーツに関連する「スポーツ局」という部門の仕事がしてみたかったのですが、配属された営業部で6年間働きました。
――その後は希望の部署へ移られたのでしょうか?
川田さん:はい。スポーツ局のなかでも、ニュースを扱う仕事でした。
川田さん:異動してまず最初は、西武ライオンズ担当になりまして。当時は松坂大輔さんやカブレラや松井稼頭央さんなど、豪華なメンバーが揃っていましたね。その年に西武が優勝したので、ハワイへの旅行も一緒に(笑)。ゴルフコンペにも参加したり、いい思い出ですね。
――いい時代のお話ですね。そこから制作部門に?
川田さん:はい、その後はスポーツニュースの曜日ディレクターとして、15分とか20分番組の構成を考えて、VTRをチェックして、出演者と打ち合わせをする、という仕事をしていました。5年間やって、計11年で日本テレビを退社しました。
――で、そこから東京衣裳に入社されるんですね?
川田さん:ええ。33歳のときに、副社長として入りました。もともと働いていた業界と近しい事業ではあるんですが、立場が発注側から受注側に回るなど、おもしろい変化がありましたね。あとは各テレビ局によって結構カラーが異なったり。
入社後は海外の舞台や映像作品などに携わるようになったのも、興味深い変化でしたね。
一般ユーザー向けのレンタルも
そんなふうにテレビや映画、演劇など、さまざまな番組や作品に対して衣裳を提供する東京衣裳。
しかし事業はそれだけに留まりません。一般客であっても、プロが使用する衣裳を借りることが可能なのです。
実際にどんなものをレンタルできるのでしょうか。担当部署で働く濱井さんに教えてもらいました。
イベント・レンタル事業部の濱井風希さん
――一般の方はどんな衣裳を借りることが可能なのでしょうか?
濱井さん:わかりやすいもので言えば、いわゆる一般的なサンタクロースや『男はつらいよ』シリーズの寅さんなど。
最近でいえば、コロナ禍に流行ったアマビエもありますよ(笑)
左の青い衣裳がアマビエ
――寅さんもおもしろそうですね。
濱井さん:わりと人気があります。
あの特徴的な上下のセットアップと、シャツ、そして腹巻き。ご要望があればトランクケースも手配することが可能です。
寅さんセット。3泊4日で1万5000円
濱井さん:あとはやはり、「いかにも衣裳っぽい」衣裳が人気ですね。たとえばこういった華美な装飾を施した1着。こちらは『ベルサイユのばら』のオスカルですが、需要がありますよ。
――被り物もたくさん置かれていますね。
濱井さん:干支の被り物は一通り揃えています。かわいいですよね。
――一般の方はどんなシステムで利用できますか?
濱井さん:メールか電話、もしくはFAXでご予約いただき、衣裳のご希望をお聞きいたします。その上で、こちらから衣裳の提案をさせていただいて、内容や利用日などを決定する流れとなります。お気軽に問い合わせてみてくださいね。
――どういった用途で借りられる方が多いのでしょうか?
濱井さん:企業の忘年会をはじめ、ハロウィン、サンタクロースなどは毎年季節ごとに利用される方が多いですね。あとはその年に流行った芸人さん風の衣裳なども、会社行事の出し物などで借りていかれる方がよくいらっしゃいますよ。
レンタルを行っている店舗前にて
初心者でも通える着付け教室も
同社の建物内には、同社が運営する「東京衣裳きもの学院」も併設。こちらは一般の方でも通える着付け教室で、幅広いカリキュラムが用意されているのが魅力です。
その内容は1人で着物が着られるようになるための科目や、人に着物を着せてあげられるようになる科目など、レベルや目的に合わせてさまざま。衣裳会社ならではのカリキュラムとして、時代衣裳にまつわる史実や歴史などを学びながら、裃の着付けを行うものまであります。
東京衣裳きもの学院については、記事末に記載のリンクよりウェブサイトへ。多様なコースがあるので、メールでお問い合わせの上、詳細を確認してみてください。
テレビや舞台など、あらゆる表現の場で着用される”衣裳”を展開する東京衣裳。
気になった方は、ぜひお店に足を運んでみてください。
そのほか今回ご紹介した以外にも、借りられる衣裳はたくさん!詳しくはHPをチェックしてみてください。
ここにしかない特別な1着に出会えますよ。
東京衣裳レンタルショップ
【住所】東京都渋谷区西原3-21-8
【営業時間】10:00〜17:30
【定休日】土・日・祝日
【TEL】03-3485-6101
【FAX】03-3485-2073
【MAIL】rental@tokyoisho.co.jp
【WEB】HP / レンタルショップ / Instagram / きもの学院
ALL PHOTOS:SHO KATOH
RELATED
関連記事