近所の人々のためのニュー酒場
「あのお店の『アレ』」があるから、代々木上原に行きたい、暮らしたい!と思える名物をピンポイントでご紹介する連載企画第11回。
今回は、「煮込みとお惣菜スタンド ウエトミ」の「コの字カウンター」をご紹介します。
コの字カウンターっていいですよね
お店の人とも、お客さん同士でも会話が弾む、コの字カウンター。「コの字酒場」をまとめた本がつくられたり愛好家がいたり、「コの字カウンターのある大衆酒場にハズレなし」との声もあります。
上原と富ヶ谷の間にオープンした「煮込みとお惣菜スタンド ウエトミ」
昨年、代々木上原と富ヶ谷を結ぶ「水道通り商店街」に新しくオープンした立ち飲み屋さん「ウエトミ」。ビアパブ「THE GRUB 代々木上原」内野さんから「毎晩良い感じで賑わっているらしい」「半分セルフになっていて、お店のつくりも楽しげらしい」というお話を聞いていたのです。
そしてその話題のお店の真ん中にあるのが「コの字カウンター」。なぜコの字なの?コの字であることで何が起きるのか?などなど、「ウエトミ」を訪れ、店づくりにかかわったメンバーの1人である大野さんに話を伺いました。
「ウエトミ」は代々木八幡駅・代々木公園駅と上原一丁目方面をむすぶ「水道通り商店街」の一角にあります。水色の暖簾が目印です。(Google Map)
店内のサイド一面には、冷蔵庫がずらり。ビールや日本酒、缶・瓶のソフトドリンク、ワインなどはセルフで冷蔵庫からとり、自らグラスに注ぐ仕組みです。お酒の大半は1杯450~600円とリーズナブル。
お昼の12時からオープンしていて、680円でランチを食べることができます。もちろん12時からアルコールを嗜むこともできます。
近所にあると嬉しい、理想の酒場
はじめに、「ウエトミ」が誕生したきっかけについて、大野さんはこのように教えてくれました。
「このあたりは都心へのアクセスも良く、住宅街の閑静さあり、商店街文化あり、いいお店がたくさんあって、申し分ないエリアなのですが、『普段着で気軽に立ち寄れる飲み屋さん』が少ないんです。そういった場所をつくれたらいいね、と代々木上原・富ヶ谷界隈の飲み屋で知り合った仲間たちで妄想していたのが事の発端です」
「構想は2~3年前から話し合いつつ、あるじの成美さんと出会ったことでみんなで思い描いていた妄想を実現できた理想の酒場が”ウエトミ”です。立ち上げに関わったメンバーは、デザイナー・内装屋・料理研究家・ビールとワインにめちゃ詳しい人、など個性豊かな面々なのでそれぞれの得意な領域を活かしてお店づくりを行いました」
それだけ個性豊かなメンバーが揃っていたら、「こんなお店をつくりたい」という意見が割れるのでは…?と問うたところ、そんなことはなく、各々が抱く理想の酒場像はほとんど共通していたそうです。
「このあたりで暮らしたり、働いたりしている人が週2~3回でも通いたいと思えるようなお店。1杯飲むだけでも気軽に立ち寄れて、休みの日は昼から飲めたりして、価格は全体的に安め。料理は凝っていなくて飽きがこないけどちゃんと手作りでおいしいもの。過剰なサービスはいらなくて、たまにお客さんが動く、くらいでもいいよね、とイメージを固めていきました」
コの字カウンターを選んだ理由
そんな”理想の酒場”を思い描く中で、当初から取り入れるべきだと考えていたのが「コの字カウンター」だったそうです。
「おいしいお酒と料理はベースにありつつ、あそこに行けば誰かがいる。何かがある、という場所にしたくて。コの字カウンターは、知り合いともそうでない人とも良い距離感を生み出してくれるし、ひとりで飲みに行っても、なんだか寂しくない。他のお客さんが食べてるものを見て、おいしそうで、僕もあれください、みたいなことが起きるのもいいですよね」
「ホールスタッフ不在」だからこそ生まれる、お客さん同士のグルーヴ
コの字カウンターの良さは、いい距離感や空気感を生み出してくれるだけでなく、スタッフとお客さんの動き方にも関わっているそうです。
「コの字カウンターだとスタッフはあまり店内を動き回ることができないこともあって、ウエトミには“ホールスタッフ”がいません。そのため、冷蔵庫からお酒をとる、注ぐなどは、お客さんご自身にやっていただく仕組みです。その分人件費を抑えて、出来る限り安い価格で料理やお酒を提供することができるし、楽しんでくれているお客さんも多いです」
「お客さんのなかには、動きが良すぎて正式にスタッフになった人もいますね(笑)。週末などお客さんが多くて身動きがとりにくいときは、バケツリレー的にお客さん同士でお酒を手渡したりする連携も生まれています」
コの字カウンターを真上からみると、このようになっています。上部の立ち飲みエリア側に冷蔵庫があり、常連さんになるにつれ、自然と冷蔵庫側に近づき「半分スタッフ」的な動きを自発的に行ってくれるのだそうです。
ちなみに「ウエトミ」のコの字カウンターは、全体の内装を手がけた@tetssuyammaさんが制作。建築現場で出た端材・廃材を再利用し組み合わせてつくられています。
ゲストシェフがお店に立ったり、その日限定の料理が楽しめるイベントもたびたび開催。
<他にも、「煮込みとお惣菜スタンド ウエトミ」のここが見どころ!>
左から、料理担当の雪乃さん、サワー部長のつづみさん。あるじの成美さん。他にも、仕込み担当のお母さん的存在のスタッフや、芸能活動をしているスタッフ、映像作家や九十九里から通うサーファー、週末八百屋さんなど、個性豊かなスタッフが在籍。日によってお店の雰囲気が変わるのも楽しい。
塩レモンサワー 500円
細かく刻んで、塩漬けした自家製レモンを使用したサワー。ベースは「キンミヤ焼酎」。さっぱりしており夏などの季節には一瞬でグラスがあいてしまい気づいたらベロベロになるやつです。
ウエトミ特製 モツ煮込み (小)350円
季節によって、気まぐれでアレンジされるらしい、特製のモツ煮込み。野菜はほろほろでモツはぷりぷり。
お惣菜盛り合わせ(一人前)500円
お惣菜のラインナップは、切り干し大根、ひじきの煮もの、きんぴらごぼう、肉じゃが、などそのときに応じていろいろと用意されています。
クラフトビールの種類も豊富。1本850円〜。
立ち飲み、セルフなので、自然派ワインのボトルの価格もリーズナブル。ワイン目当てで、飲食店仲間が遊びにくることも多いのだとか。
立ち飲み屋と冒頭で称しておりますが、コの字カウンター以外にも丸テーブル席もあります。
さらに奥の空間にはテーブル席もあり、グループでワイワイ楽しみたい、という場合などにおすすめです。
ガーっと働いていたら夜21時とかで晩ごはんどうしよー、という日の救世主たりえる夜定食。近所で働いている人は要チェックです。
煮込みとお惣菜スタンド ウエトミ
【住所】 東京都渋谷区上原1-1-21 山口ビル1F
【TEL】03-5790-9990
【営業時間】12:00~22:00
【定休日】なし(不定休)
【URL】http://uetomi.tokyo
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