代々木上原にゆかりのある人物にフォーカスする連載企画「上原人物名鑑」。第一回目は、靴の卸を中心に、セレクトショップ運営等、アパレル事業を行う〈GMT〉でプレスを務める三浦由貴さんのお話をお届けします。

代々木上原のセレクトショップ「バーニッシュ」の店長兼バイヤーとして、母体である〈GMT〉のプレスとして、これまで約9年間代々木上原で働いている三浦さん。

三浦さんと『AL』編集長は以前から交流があり、メディアがスタートする前、そもそも代々木上原ってどんな場所？というのを教えてもらうために、街のことを案内してもらっていました。

一緒に代々木上原を歩くと、若い人からご年配、年齢性別職種問わず、街の人々はほとんど知り合いなのではないかと思うほど、声をかけあい、挨拶を交わす三浦さん。少し通りを歩いただけでも、街の人々を愛し、愛されているのがすごく伝わってくるのです。そんな三浦さんは、どのようにして代々木上原で働き始め、いまに至るのか。仕事と暮らし、代々木上原の日々について、語っていただきます。

話をお伺いした場所は〈GMT〉のショールーム。現在は約30~40のブランドを取り扱い、インポートだけでなく複数のブランドではプロモーションやマーケティング、プロデュースも手掛けています。

きっかけは、20歳の背伸び。

まずは代々木上原で働くことになった経緯をお伺いできればと思います。ご出身は千葉ですよね？
生まれは大阪なんですけど、育ったのは千葉の成田市です。大学も千葉でしたね。

学生の頃から、ファッションが好きだったんですか？
今もそうなんですけど、もともと服がめちゃくちゃ好き！ってわけではないんです。この業界に入ったのは、20歳になった頃に〈バブアー〉のビデイルジャケットと〈トリッカーズ〉の靴を買ったことがきっかけで。

20歳で〈バブアー〉と〈トリッカーズ〉！ 鬼のようにお洒落じゃないですか。
そのときバイトしてた雑貨屋に、藤田さんという、すごくお洒落な女性スタッフがおりまして。藤田さんに「大人になったので、いいものが欲しい」って話をしたらおすすめされたのがその2つだったんです。どこで買えるの？ときくと、千葉市内にある「リュミエール」というセレクトショップだと。そこで〈バブアー〉のジャケットを買ったのかな。

実際におすすめされたり購入してみて、それらのブランドには惹かれた部分があったんですか？
当時雑誌でもいろんなファッションがとりあげられていたけど、〈トリッカーズ〉や〈バブアー〉は流行り廃り関係なく、飛び抜けた存在だなぁと。あくまで、20歳の頃の背伸びしたい気持ちがきっかけですけどね。

大学卒業後すぐに、〈GMT〉に入社したのでしょうか？
いえ、就活のときは〈GMT〉の名前も知らず、アパレルの会社に内定をもらっていたんです。そしたら内定式に行ったあとくらいに「リュミエール」から連絡がきて、うちで働かないかって。

おお。人生の分かれ道ですね。
ふつうに考えたら、新卒でそのまま入社するべきなんですけど、「うちに来たらバイヤーもできるから」って甘い言葉に乗せられ・・・（笑） 内定を辞退して、「リュミエール」で3年くらいバイイングの仕事をやりました。

お客さんから一転、〈トリッカーズ〉や〈バブアー〉を売る立場になったわけですね。
そうです。そのとき「リュミエール」に誘ってくれたスタッフの方が〈トリッカーズ〉の仕入元となる輸入代理店に転職したんです。そこが〈GMT〉だったんですね。その1年後に〈GMT〉が代々木上原に「バーニッシュ」をオープンさせるにあたって、店長兼バイヤーをやってくれるひとを探してるってことで、俺に声がかかったんです。

人の繋がりが重なって、代々木上原にたどり着いたと。

よくよく振り返ってみると、20歳のときに「〈トリッカーズ〉買いなよ」っていわれたところからはじまり、その輸入代理店に、結局は自分が入社をするっていう。不思議な感じですよね。

〈バブアー〉と〈トリッカーズ〉に導かれたかのようなご縁ですね。

そう、かっこよく言えばね（笑）