TDMS inc.が手がけるウェブメディア「FNMNL(フェノメナル)」http://fnmnl.tv
ストリートカルチャーは、ひとつでつながっている
もうひとつの事業、WEBメディアの「FNMNL(フェノメナル)」はいつ頃からスタートしましたか?
2016年の7月ですね。
なぜ、メディアをやることになったのでしょうか?
「wasabeat」を運営していたことで、チームメンバーがとにかく音楽に詳しい状態だったんですね。日々レコメンドのコメントを書いていたので、言語化能力も高い。その力を活かして、時代に即した事業をやることを考えて、音楽配信からメディアにシフトしたっていうところからはじまりました。
確かに。150万曲も扱っていれば、詳しいどころではなさそうです。
音楽に関しては、日本でもトップクラスの熱量と感度のある人間が集まっていると思います。何より彼ら自身が当事者というか、ここで働いているメンバーはほとんど、DJやトラックメイカー、レーベル運営など、何かしら個々で音楽とのつながりを持っている人ばかりです。
TDMS inc.のスタッフ。この方は自ら音楽レーベルを運営しているそう。
特にどのような情報を扱っているのでしょうか?
ジャンルを問わず、海外のユースカルチャーを扱うことが多いです。USのリアルなヒップホップシーンだったり、世界的にはトレンドになっているけど、日本にはまったく情報が入っていないムーブメントだったり。最終的には、書き手がおもしろいと思うかどうか。これだけです。
ある程度、スタッフの感性に委ねられている部分が多いのですか?
むしろ僕は口を一切挟んでないです。僕はいま44歳で、スタッフは20〜30代。根底の価値観はリンクしていますが、感覚のフレッシュさが違います。自分で自分のメディアを読んでて、すごく勉強になりますよ。僕自身がメディアのファンであり、ヘビーな読者になっちゃってますね。
自身のメディアを俯瞰した立場で眺めていて、現代のカルチャーや音楽シーンについて思うことはありますか?
扱う情報は音楽、食、ファッション、テックやガジェットなどと色んなカテゴリーがありますが、そういうのって全部つながっているなと思います。どれかひとつだけが好き・興味がある、ということはない。根っこにあるのはストリートカルチャーで、そこに影響を受けてきたし、今後も注目していくべきかなと。
たしかに、時代の流れとしても、いま、ジャンルの区切りってあまりなくなっているような気がします。
そうですね。だけど国内の現状だと、音楽は音楽、ヒップホップはヒップホップ。音楽のジャンルはクロスオーバーしている人も増えていますけど、ライフスタイルでいうと、バランスが良くない人が多いような気がするんです。
ライフスタイルのバランスが良くない?
たとえばクラフトビールは世界中で流行していますが、ロンドンとかだと音楽やファッションともつながってるんですよね。音楽レーベルのパーティとかでも、かっこいブリュワリーがスポンサーで入ってたりとか。
なるほどなるほど。
そういったブリュワリーが運営しているクラフトビールパブへ行くと、いいDJがいい音楽をかけている。若い人はカルチャーや空気感も含めてクラフトビールを楽しんでいるんです。日本のブリュワリーもユニークなところが増えていますが、まだまだ「地ビール」的なイメージが強いですよね。
全体的にはそうですね。道の駅とかお土産屋さんで売っているような、ご当地感のイメージです。
自然派ワインを取り巻く環境も同様で、例えばパリの有名なビストロへ行くと、ドレッドヘアのお兄ちゃんが出てきて、自分でサウンドシステムを構築してレゲエやダブのトラックをつくりつつ、その一方で、ナチュラルなワインをつくることにも人生を賭けてる、みたいな人が普通にお店にいるんです。
なんとなくイメージ湧きます。かっこいいなああそういう人。
こういう人間が、日本にはあんまりいないわけです。すごくワインに詳しい人とか、僕も好きなのでそういうお店へいきますけど、あんまりそこで音楽の話とか聞かない。ワインの話オンリー。
うーんたしかに、言われてみると納得です。
でも、上原にはいるんですよ。そういうひとたちが。
なんと!そこで上原の話がでてきますか!
だから僕、上原がすごい好きで。ほんとにいい街だなって。可能性あるんじゃないかなって正直おもってます。
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