fbpx

SHARE

「消費」ではない、アートの在り方とは? 代々木上原における3つのケーススタディ

HOME SPOTS 「消費」ではない、アートの在り方とは? 代々木上原における3つのケーススタディ

SHARE ON

このエントリーをはてなブックマークに追加
1
2
3

CASE STUDY 2:アートを日常へ。ファイヤーキングカフェが先進的な事例で在り続ける理由

「アートの在り方」を考える上で、代々木上原において欠かせない存在が『ファイヤーキングカフェ』です。

2つめのケーススタディとして、過去のインタビューの要点を交えつつ、要点を抜粋してお届けします。

全文はこちら↓

ファイヤーキングカフェのギャラリー【あのお店のアレ vol.2】

 


「ファイヤーキングカフェ」オーナーの阿部さん。

 

代々木上原カルチャーのパイオニアが示す「アートの在り方」

開店から20年以上経つファイヤーキングカフェ。常に新しく、フラットでありながらまちの人々の拠り所として愛され続けている要素のひとつに「ギャラリー」があります。

店内の壁面が「ギャラリー」として機能し、定期的に作品が展示・販売されているのですが、その最大のポイントは「展示料や販売マージンがない」こと。


Q.ギャラリーとして展示させてもらう場合、使用料はかかるのですか?

使用料はいただいていないんですよ。その代わり、選ばせていただいているというか、オーナーの阿部によるセレクトが基準になっていますね。


「店内装飾として飾っていた写真の代わりに、知人の作品を展示した」ことがルーツのため、そこから「展示料や販売手数料はとらない」ことを貫いています。

そうすることで

①ファイヤーキングカフェ(オーナーの阿部さん)が主体的に作品を選ぶことで、お店の世界観や、クオリティー、一貫性をキープできる。
②アーティストにとって有り難すぎる条件のため展示は先々まで予定が尽きず、定期的に入れ替わることで訪れる人も働く人も常にフレッシュに。
③アーティストやその周辺の人々にとっての居場所になることで、集客にも繋がる。

と、情緒的価値だけではなく、実際にお店の売上にも結びつく効果を生み出しているのです。

展示内容の選定基準は、いい空間をつくる作品かどうか

「ギャラリーをスタートしてからは、有名無名問わず、ジャンルも写真から絵画、イラスト、書など多種多様な展示を行ってきました。展示内容の選定基準は、壁面に飾られることで、素敵な空間を演出できるものかどうか。ギャラリーを併設している最大の理由は、”空間づくりの一部をアーティストに委ねる”ためなんです。展示内容が変わることで従業員も訪れる人にとっても常に新鮮な空間になります」

「アート作品そのものに発生する金銭報酬はアーティストに100%還元する」一方で、作品が持つビジュアルやアイデンティティとしての価値、アーティスト自体のコミュニティの面で巡り巡って飲食店としての売り上げにも結びつく好循環。どの方面から見てもWin-Winな在り方です。

形態は少し異なりますが、代々木上原界隈ローカルが世界に誇るコミュニティの起点「PADDLERS COFFEE」にもギャラリーがあり、定期的にPOP UP SHOPが開催されていることも、近しい事例かもしれません。

食育インストラクター・和田明日香さんの代々木上原案内

共通点は、軸のぶれないキュレーターがいること。人の感性、嗅覚、行動力によるところも大きいので、容易に真似できることではありません。(・・・が、このようなお店があるまちは絶対的に楽しくなるので、今後もどんどん生まれてほしい!)

 

と、こちらの抜粋記事の取材に伺ったのが2017年10月。
時代はコロナ禍となりマスクを着用して外出する生活も早3年目を迎えました。
編集部にて直近の阿部さんにお話を伺ってきましたので続けてどうぞ。


コロナ禍も毎月1回は展示作品を入れ替え・高まる表現欲求

―前回、取材にお伺いしたのが5年前。コロナ前と現在で展示作品やギャラリーに変化はありましたか?

コロナ当初は、夜の営業時間を短縮したり、アルコールの提供を控えたりと、お店の営業形態も国が定めるガイドラインに従って営業を続けていましたが、ギャラリーに関してはその間も毎月1回は展示作品を入れ替えて展示を継続していました。
変化としては以前よりも展示希望の方が増えていて、展示をしたいとのオファーが途絶えません。2023年の年間スケジュールはほぼ埋まってしまっていて、アーティスト側の表現欲求が高まっているように感じます。以前は写真と絵画が半々だったけど、今年は絵画が多いのも一つの変化と言えるかもしれません。

―アートに触れたお客様の反応などにも変化は感じますか?

ご存知のように、うちは展示料や販売マージンを一切いただいていませんが、展示されたアーティストから、作品売上が好調だったと嬉しい報告をいただいています。去年、一昨年と在宅勤務や休日も外出を控え自宅で過ごされるライフスタイルの方が増え、そちらも影響して販売アップにつながっているのかもしれませんが、アートを購入されるお客様は増えているように感じます。

―コロナ禍で制限された生活の中で、アートがより必要不可欠になったと言えるかもしれないですね。

そうですね。例えば丸一日家の中でパソコンと向き合っているような時でも、ふと目に入る場所にアート作品が置いてあるだけで癒しになりますよね。

―現在、展示中の”Think Different”Apple1997についても教えてください。

こちらは年末から新年にかけて、毎年定期的に展示しているファイヤーキングカフェのアートコレクションです。
お店にいらっしゃる老若男女や世代を問わず、誰かしら必ず知っている各界の著名人やアーティスト達がポートレート作品になっています。
日本のキャンペーンで使用していたピカソを頂いたのをきっかけに収集を始め、現在展示中の作品も全てApple社オリジナルの本物です。
お客様は席から全ての作品が見渡せるようになっているので、Apple社の歴史もさることながら、飲食をしながら目についたポートレートについて話したり、皆の話のきっかけやネタになる役割も大きく果たしていると思います。そういう意味でもファイヤーキングカフェにふさわしい展示作品と言えるのかもしれませんね。

―展示中の作品、全てオリジナルとは!

ええ。オリジナルでこれだけの作品が揃い、一度にご覧いただけるお店は、おそらく日本のみならず世界でも他にはないと思いますよ。

その展示作品風景がこちら↓


©Fireking Cafe

こちらのThink Different 展は2022年12月12日〜2023年1月22日までの展示。
お店のライティングと作品がまるで空気のように溶け込みあっています。
見逃してしまった方は、ぜひ次回の展示期間中にお店まで足を運んでみてください。

 

―1月以降、直近の展示予定も教えてください。

もちろんです。

1月23日〜2月5日は、Yosuke Komoriさんというオーストラリアでアボリジニ学を専攻された経歴を持つアーティスト。
2月6日〜2月26日は、インドで生まれ、藝大で油画を専攻して卒業された里都子さん。
2月27日〜3月19日は、Peter Riveさんという海外アーティスト。
3月20日〜4月16日は、お馴染みの写真家馬場 道浩さん。
4月17日〜5月21日は、こちらもお馴染みの古門 圭一郎さん。
5月22日〜6月18日は、奈木 和彦さんの油絵展示。
7月以降も魅力的なアーティスト達が続きます。

―ありがとうございます。この先も予定がぎっしりですね!

はい。ぜひお食事と一緒にアート作品にも触れ合いにお立ち寄りください。

 


ファイヤーキングカフェ
【住所】東京都渋谷区上原1-30-8
【TEL】03-3469-7911
【営業時間】平日 / LUNCH TIME AM11:30~PM6:00 DINNER TIME PM6:00~AM2:00 土日/ LUNCH TIME AM12:00~PM6:00 DINNER TIME PM6:00~AM2:00
【定休日】なし

 

続いて、代々木上原の地で出会い、グローバルへと響くアートフィルムが誕生するまでに至ったケーススタディをご紹介します。

1
2
3

RELATED

関連記事

POPULAR

人気の記事

LATEST

最新の記事

VIEW MORE