週に1度のお楽しみ。久保田さんがつくる、とびきり美味しいお菓子たち。
その街を訪れる理由になる、たったひとつの何か。好きなひとがいること。おいしいごはんがあること。面白い話がきけること。新しい何かに出会えること。
そんな何かが、たったひとつでもあればいい。
「あのお店の『アレ』」があるから、代々木上原に行きたい、暮らしたい!と思える名物をピンポイントでご紹介する連載企画第17回目。
今回は、「LE CAFE DU BONBON」の「チーズケーキ(ガトー・フロマージュ)」にフォーカス。メニュー開発のストーリーや、その魅力に迫ります。
ご紹介いただいたのは、SPEAKEASY SALOON BEAUTYSMITHの長尾さんご夫妻。
フランス菓子の教室を中心に、週に1回だけ製菓販売をしている「LE CAFE DU BONBON」さん。上原には有名なお菓子屋さんがいくつかありますが、特に僕たちふたりとも大好きなのがここ。毎週、欠かさず販売日をチェックしています。お菓子はどれもおいしいですが、お気に入りはチーズケーキ。甘いだけじゃなく、素朴なのだけど奥深い、毎日でも食べたくなる美味しさです。ーSPEAKEASY SALOON BEAUTYSMITH長尾圭さん、せりさんご夫妻
SPEAKEASY SALOON BEAUTYSMITHからは徒歩30秒、同じ地蔵通り商店街にある「LE CAFE DU BONBON」。
毎週金曜日の12時〜17時には、久保田由希さんがつくる焼き立てのお菓子がならびます。
「LE CAFE DU BONBON」を主宰する久保田さんは、家具・キッチンのデザイン業を経て、ル・コルドンブルー東京校・パリ校で製菓を学び、2003年に独立。著書に『LE CAFE DU BONBONの焼き菓子』があります。
ガトーフロマージュ 1切 460円 / 1ホール(8カット分/24cm)3,680円
3種類のチーズを贅沢に使った、濃厚な味わいのチーズケーキ
久保田さんが独立当初から制作・販売しているチーズケーキは、クリームチーズ、サワークリーム、マスカルポーネの3種類のチーズを使用。湯せん焼きでしっとりと焼き上げているのが特徴です。口溶けはなめらかで、さわやかな甘みとチーズの香りが口いっぱいに広がります。製菓販売でも、教室でも人気のメニューながら、久保田さんは「レシピや製法は決して特別なものではないですよ」といいます。
フランスの家庭でつくられる、素朴なお菓子。LE CAFE DU BONBONの原点
「本を出したり、10年以上製菓教室を主宰したりしていると、よっぽどお菓子が好きで、夢があって、、といったイメージを持たれることが多いのですが、きっかけはなんでもなくて。モノづくりが好きで、食べることが好きだから、なんとなくフランスのお菓子がおいしそうだから学んでみよう、くらいの気持ちで習い始めたんです」と語る久保田さん。
本場フランスの製菓学校に通いつつ現地の文化にふれるなかでも特に惹かれたのは、パティシエがつくるような豪華なお菓子ではなく、フランスの各家庭で伝統的につくられているような素朴な焼き菓子だったといいます。
「お菓子屋さんで売られているもののなかでも、おやつのようなもの。家庭で日常的に食べられていて、きらびやかではないけど、素朴で美味しいお菓子。日本で暮らす私たちも、もっと日常で食べるお菓子が、おいしいものになるといいなと思いました」
できたての味と香り。お菓子作りのうれしさを実感できる製菓教室
帰国後、都内のカフェでメニュー開発・お菓子の製造を経て、自宅でのお菓子教室をはじめた久保田さん。そのきっかけも「カフェのレジ横に小さな貼り紙をはってみた」ことからという何気ないものだったそうですが、それから15年以上にわたり、多くの人々が久保田さんのもとでお菓子作りを学んでいます。
教室で教わることができるのは、すべてのお菓子の基本ともいえる、フランスの郷土菓子や家庭でつくられるもの。材料は、粉とバター、砂糖、卵がベース。日本でも手に入りやすい素材なので、自宅でもつくりやすいお菓子が中心になっています。
「私自身も、手の込んだお菓子もつくれなくはないですけど、つくるのが大変だと、途中で、食べたいという気持ちが離れちゃうんです。そうなると、買いに行ったほうがはやいなぁ、と思ってしまいます」
製菓教室では、はじめにその日習うお菓子を実食するのが恒例。この日の題材は、季節のさくらんぼが入ったクラフティ。
「案外、買わなくても自分で作れるものもたくさんあるんだな、ということを知ってもらいたいというのがまずひとつ。出来たてのおいしさって、つくったひとしか味わえない喜びだったり。焼き上げているときに部屋に広がる香りで、家にいるみんなが何をつくっているだろう、と空気が和んだり。些細なことなんですけど、小さな喜びが積み重なっていくうれしさが、お菓子作りにはあるのかなと思います」
そして最後に、チーズケーキ(ガトーフロマージュ)でも特別なことはしていない、と語っていたことの続きを教えてくれました。
「素朴だからこそ、いかに当たり前のことを当たり前に行うかがおいしさを左右します。まったく同じ材料とレシピでも、使うオーブンや道具、その日の気温などでも味が大きく変わることもあります。教室でも、作り方を体感していただいたあとは、ご自宅で何度もつくってみていただくのが、おいしいお菓子をつくれるようになるいちばんのコツだとおもいます」
<その他のメニューや、店内の様子>
チーズケーキは、1切れの購入でもこのように包んでもらうことができます。
製菓教室でも扱っていた、さくらんぼのクラフティ 550円
季節のタルト (1切れ)480円
ビスキュイ・ド・サヴォワ 1切 430円 ホール(小)1,800円 (大)2,500円
久保田さんは家具、キッチンのデザイン業(黒田秀雄キッチンシステム研究所)に務めていたこともあってか、キッチン奥の棚は道具の選定やレイアウトもため息がでるほど美しいです。
エスプレッソマシンもピカピカ。
取材時も美味しい紅茶を淹れてくれました。
LE CAFE DU BON BON
【住所】東京都渋谷区元代々木町9-2
【製菓販売】金曜:12:00~17:30 土曜(不定):12:00~16:00 ※最新情報はInstagramをチェック!
【製菓教室】WEBサイトをご覧ください
【WEB】HP /Instagram (Pantry&Atelier)/Instagram (製菓教室)
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