代々木公園駅から徒歩1分のところにある「LIVRER TOMIGAYA(リブレ富ヶ谷)」は、洗濯のプロフェッショナル集団「洗濯ブラザーズ」が運営するクリーニング店。独自の手洗いクリーニングにより、衣類が本来もつ風合いを引き出してくれる特別な場所です。
こちらのリブレ富ヶ谷は衣服を預かることでクリーニングをしてくれるだけでなく、店内にはオリジナル洗剤やケア用品が並び、洗い方や素材ケアの知識まで学ぶことも可能。
富ヶ谷ならではのおしゃれな空気感と、職人による高い技術を味わえるこのクリーニング店で、いつもの日常を豊かに変えてみてはいかがでしょうか。
単に服をきれいにするだけじゃない店
リブレ富ヶ谷を手掛けるのは、横浜を拠点とする洗濯ブラザーズ。クリーニングという行為を単なる家事や作業ではなく、服そのものと向き合う文化として発信しています。
リブレ富ヶ谷の店長・安田さんは別の店舗や工場も経験した、服や繊維といったトピックに深い関心を持つ方です。
―リブレさんは3店舗(横浜・三宿・富ヶ谷)をお持ちですよね。ここ富ヶ谷店の立ち位置はどのようなものですか?
横浜が最初にオープンした1号店。そこから世田谷区の三宿に2号店ができて、ここが3号店としてオープンしました。
富ヶ谷店の特徴としてはクリーニングのサービスはもちろんなのですが、オリジナル洗剤なども販売しているセレクトショップスタイルで、スキンケア用品を展開する「キャロルプリースト」の製品や、スリランカの天然石を使ったジュエリーなども取り揃えています。
―安田さんはどういった経緯でこのお仕事を始められたのですか?
私はもともと服飾の短大を出て別の仕事をしていたのですが、知り合いから紹介してもらって、おもしろそうだったのでこの仕事を始めてみました。
―洗濯ブラザーズは店舗運営にどのように関わっていますか?
彼らはここにもたまに来ますが、普段は私ひとりでお店に立っています。
―富ヶ谷のお客さまはどのような方が多い印象ですか?
質のいい高価な服を持っていたり、服そのものが好きな方が多い印象です。おしゃれな人もたくさん歩いていますよね。
―料金はどのようになっていますか?
普通のクリーニング店より料金はやや高めに設定しているのですが、すべて水で洗います。ふんわりと仕上がりますよ。
価格としてはブラウスが2400円、スーツ上下で5000円、コートは4500円ほどです。しみ抜き代も込みの金額なので、ハイブランドの服も安心して預けていただけます。
熱心な研究により受け継がれた技術を生かし、洗濯ブラザーズが提案するライフスタイルを実践的に体験できるのがリブレ富ヶ谷。安田さん自身も服飾の知識を背景に、1着ごとに合わせたアドバイスを行い、手洗いや水洗いという丁寧なケアの意義を顧客に伝えています。そうした接客を受けることにより、訪れる人が自然と「洗うこと」自体に興味を抱き、衣類への愛着を再発見できるのです。
豊富なオリジナル商品も魅力
店内は他ブランドのジュエリーなどにとどまらず、オリジナルブランドの洗剤を始め、洗濯という行為を楽しむため道具が幅広いラインナップで取り揃えられています。
―店内で販売しているアイテムについて教えてください。
オリジナル洗剤は全部植物由来。柔軟剤は使わず、服を柔らかくする効果のあるアミノ酸が入っています。
環境にも優しいし、肌が弱い方にもおすすめですよ。
香りや種類も豊富で、シーズンものもあります。
今だと冬季限定のイチジクの香りも人気ですし、ビーチライクなフローラル系も手に取られる方が多いですね。
―デリケートな衣類に適した製品もありますか?
おしゃれ着用の洗剤には「スクワランオイル(深海鮫の肝油や植物から得られる成分に水素を添加して安定化させたオイル)」が入っていて、ウールやカシミア、シルクをしっとり洗い上げます。
これがダウンやゴアテックスまで洗える洗剤で、汚れや匂いをしっかりと落としてくれるので、この洗剤を使って劇団四季さんの衣装も弊社で洗わせてもらっているんですよ。
―洗剤以外のアイテムも充実していると聞きました。
ランドリーネットもあります。ウェットスーツと同じ素材を使ったこのネットは、ニットを縮ませず、色落ちも防ぎます。「ハニカム構造」で摩擦や毛玉、型崩れを防いでくれるので、カシミアやフリンジ付きストールなど、これまでは自宅で洗うのが難しかった服も簡単に洗えますよ。
これらのオリジナルアイテム群を見ると、この店は日常の洗濯を豊かにするツールボックスとして機能していることがわかります。
香り、素材、機能性を重視した洗剤はもちろん、しみ抜き用のプレウォッシュスプレー、毛玉取りのブラシ、虫除けスプレーなど…。「洗う」という行為を、多面的にサポート。単なる衣類ケアから一歩進んだ、衣食住ならぬ「衣洗住」の拠点と言えるでしょう。
―洗剤は量り売りもしていますよね?
量り売りもしていますよ。
ご自身のボトルを持ってきてもらえれば、必要な分だけお分けできます。いろいろな洗剤を少しずつ試せるのがメリットかと。
―ハンガーはオリジナルですか?素材感が素敵です。
このハンガー、もみ殻を使ってるんですよ。仕上がったクリーニング品は、うちのオリジナルハンガーにかけてお返しします。普通の針金ハンガーじゃないので、服のラインも崩れにくいんです。
先ほどもお話したとおり、土地柄的に服が好きな方が多いので、クリーニングついでにハンガーだけを買ってくださる方もいたりします。
服のことを考えた洗い方が魅力
リブレ富ヶ谷のクリーニングサービスは「水を使った手洗い」を基本とする独自の手法で、生地本来の柔らかさを取り戻し、汚れを芯から洗い落とします。
また、顧客自身が自宅で洗うためのノウハウの共有も行い、家庭における洗濯で悩んだときの相談窓口としての機能も備えています。
―服に優しいクリーニング手法を用いているとお聞きしました。
うちは水で、手洗いクリーニングです。一般的なドライクリーニング(水を使用せずに有機溶剤を用いて衣類を洗浄する方法)だと油汚れは落ちるけど、水溶性汚れは残ります。でも水洗いなら繊維の奥までしっかり落ちるんです。
―他店に比べて、料金は高めとのことですが、その分の価値を感じられる仕上がりなのですね?
料金は普通のクリーニング店より高いかもしれません。でも、1着ずつ素材に合った洗い方で仕上げるので、ハイブランドの服や特別な1着を預けていただく方が多いです。
―お店に服を預けると、丁寧に手洗いしていただけることはわかりました。一方で、自宅で自ら服を手洗いすることの魅力について、もう少し詳しく教えていただけますか?
なんというか手洗いすることで、“服が好きになる”んですよね。自分で手間をかけると、服に対しての愛着が増すといいますか…。
それに加えて、先ほど紹介したようなウェットスーツ素材のランドリーネットを使えば、家で洗える服が増えます。今まで諦めてたデリケートなアイテムも自分で洗えたら、服選びも楽しくなると思いますよ。
―お客さまから洗い方の相談を受けることもあるのでしょうか?
シミ抜きや汚れの落とし方もアドバイスします。カレーのシミなら紫外線に当てると分解されやすい、とか。そういうちょっとした知識も共有しますね。
リブレ富ヶ谷のサービスの本質は、ケア方法を共有してもらえる点にあります。ただ服を預けて、きれいな状態で返ってくるだけでなく、自宅でも実践可能な知識を身につけられる。
そうした相互作用が、顧客に新たな洗濯体験を与えるのです。また、劇団四季の衣装まで手掛ける実績を持つこの店ならではの信頼感が、特別な服を預けたい人びとの心を掴んで離しません。
―洗い方を教えるときに、どんなことを意識していますか?
お客さんが“これどう洗えばいい?”って持ってきてくれると、素材を見て、最適な洗い方を提案します。
ドラム式だと少ない水量で回りますが、最初に水と洗剤をよく混ぜてから服を入れると、汚れ落ちがよくなるとか。そんなちょっとしたコツもお伝えできるので、ぜひお気軽に何でも聞いて下さいね。
立ち寄るだけでも楽しい
リブレ富ヶ谷は、洗濯ブラザーズが培ってきた技術と知識を体験できる場所。豊富な洗剤グッズやスタッフによる親身なアドバイスなど、洗う行為がただの家事ではなく、衣類を深く慈しむ文化へと昇華させてくれる空間でもあります。
富ヶ谷という感度の高い街で、この店は洗濯をめぐる新しい日常を提案しています。特別な一着も、普段着も。預けることで、そしてケア方法を学ぶことで、その価値を再認識できることでしょう。
―最後に、訪れる方にメッセージをお願いします。
当店は、服や洗濯のことを気軽に相談できる場でもあります。お客さまの疑問や困りごとには可能な限り応えながら、クリーニングの新しい価値を届けたいと思っています。
LIVRER TOMIGAYA(リブレ富ヶ谷)
【住所】東京都渋谷区富ケ谷1-9-22 1F
【営業時間】11:00〜20:00
【定休日】水曜・木曜
【TEL】03-5790-2515
【WEB】HP / Instagram
ALL PHOTOS:SHO KATOH
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