-こちらのお店は現在閉店しております-
代々木上原・八幡エリアは、おしゃれな街として知られています。
おしゃれな街ってどんなところなんでしょう? 街並みがキレイだったり、隠れ家的な飲食店が集まっていたり、センスの良い人たちが多く住んでいたり。
そこに加えたいのが、個性豊かなセレクトショップやヴィンテージショップの存在。街の景観や食だけでなく、服を着るうれしさを教えてくれる素敵なお店がその街にあることが「おしゃれな街」であることなのかなと思うのです。
ファッションPR出身者がオープンしたMilli Vintageとは?
そこで今回紹介したいお店が、2017年にECサイトからスタートして翌年2018年3月にリアル店舗を富ヶ谷にオープンさせたヴィンテージショップ「Milli Vintage(ミリヴィンテージ)」です。
Milli Vintageを運営しているオーナーさんは、国内の有名アパレルブランドで経験を積んだファッションPRのご出身。
ファッション業界出身ならではのお店づくり、アメリカのサンフランシスコを生活の拠点に置きながら、日本のここ富ヶ谷のリアル店舗で国内外のヴィンテージ古着を販売するというユニークな運営手段など、オーナーさんのお話とともにMilli Vintageの魅力を探っていきます。
ウェブとは違った楽しさがあるリアル店舗
――まず最初に、Milli Vintageで古着の販売をはじめたきっかけを教えてください。
2016年12月に退社しフリーランスとしてファッションPR仕事を続けていたのですが、もともと旅先で古着を買い集めるくらい古着が大好きだったんです。それで「好きな事をしたい」という純粋な好奇心から、まずはECサイトで古着の販売をはじめてみました。
それから4ヶ月程経った頃、都内のレンタルスペースで期間限定のポップアップストアを開いたのをきっかけに、実店舗を持ってみたいと思念するようになったんです。“商品を手に取り、触り、試着して買うという体験”から得る感覚は、ウェブとは違った楽しさがあることをあらためて実感しました。
――ECサイトをはじめて約1年で実店舗をオープン。立地に富ヶ谷(代々木公園エリア)を選んだ理由はなぜですか?
私自身が代々木上原に住んでいたこともあり、富ヶ谷は馴染みある場所でした。渋谷・新宿など主要な繁華街が近いのに、代々木公園やカフェ、小さな個人商店が多い。いい意味で「ユルい」空気感が好きだったので、もしお店を出すならココだなという感覚がありました。
それからランチ問題。時間に制限があるランチタイムも、富ヶ谷エリアでは美味しい飲食店が豊富だし、渋谷から上原くらいまでなら自転車で足を伸ばせるので、毎日の「今日、何食べよう」が楽しめるとても魅力的な街ですね。
アパレル業界で授かった見せ方のメソッド
――お店づくりや古着を選ぶときのポイントを教えてください。
「通りすがりでたまたま見つけた、なんか可愛いモノがありそうなお店」を目指しています。「なんかありそう」というのがポイントです(笑)。
小さなお店なので「見え方」が大切。買い付けの段階からラックなどVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング:ディスプレイなど視覚表現を中心とした演出によるマーケティング手法)を考えていることが多いですね。
商品については、状態とサイズ感、“今”っぽく着用できるか、そしてモダンな雰囲気があるかという4点に着目しています。
それから、モデルを使って撮影している古着屋さんがそんなに多くなかったので、プロのモデルさんを起用してビジュアルを作っているところは他店と差別化できていたとおもいます。これらは、PRや販売員時代の経験が非常に役に立っています。
古着の魅力は、いま出会えない物に出会う楽しさ
古着の買い付けをはじめて気づいたんですが、本当に「ヴィンテージ」と呼ばれるようなアイテムはとても希少になっていて、価格が比較的に安く年代も新しい「レギュラー古着」がどうしても多くなってしまう現状があります。
ただ古着が作られた時代ごとに面白さもあり、量産されたものであってもお店のキュレーションで新鮮に見せられたり、着こなしやサイズ感で今っぽくなったりするところにワクワクしています。
いま出会えない物に出会う楽しさが古着の魅力なので、「わけがわからないのに、どことなくモダン!」みたいな古着を見つけたときは迷わず買うようにしています。
サステナブルな意識が進むサンフランシスコ
――現在は、米国のサンフランシスコに移住。現地ではどんなライフスタイルを送っていますか?
午前中は英語の学校に通って、午後は古着の買い付けに出かけ、買い付けた商品を洗濯・リペア・撮影することが主なルーティーンワークです。
日本では夜型の飲み歩き人間でしたが、アメリカで暮らすようになって朝型カフェ人間に変身しました(笑)。朝6時に起きて夜10時には眠りにつく日々、1日の時間の使い方が大きく変わりました。
サンフランシスコは暑すぎず寒すぎず、穏やかな気候で過ごしやすいのが魅力的。また、アメリカの中でも珍しく電車やバスが充実しているので、ひとりで行動できる範囲も広くて便利です。
生活や文化の違いは沢山ありますが、とくに環境問題に関する取り組みは日本よりも進んでいることは明らかです。ファッションに関してもブランドがサステナブルな活動を実行していて、原価まで公表していたりと、かなり先行く透明性を各企業が打ち出しているところが日本と違いますね。
サンフランシスコに来て1年が経ちますが、ビニール袋をもらったのは魚を買った時と汁物を持ち帰った時だけ。日本では愛犬の散歩にコンビニ袋を必需品としていましたが、サンフランシスコでは犬のウンチを何に入れているのか気になるところです…。
富ヶ谷とサンフランシスコをつなぐ
――生活の拠点であるサンフランシスコから、富ヶ谷にある店舗スタッフの方とはどのようにコミュニケーションを取っているんですか?
現在は、店舗の運営をアパレル関係の友人にスタッフとして任せつつ、約4ヶ月おきに帰国してお店のVMDを行なっています。サンフランシスコにいるときは、メールやLINE、電話で店舗スタッフとコミュニケーションを頻繁に取っています。
新規のラック作りなどは基本的に私が担当しているのですが、古着という特性上、1点売れたら同じものはないため、その後のラック作りやバランス調整はスタッフに委ねています。そこのコミュニケーションも含めて、常にお店を新鮮に見せていくことが今後の大きな課題です。
エシカルファッションとして期待される古着
――今後、どんなお店に発展したいですか?
まだまだ素敵な洋物は眠っているし、リユースである古着は、環境を汚さず生産や廃棄を出さないエシカルなファッションとして、アメリカだけでなく日本でもさらに注目されて重要な役割を果たせる存在になると期待しています。
ファッション業界で、古着が一過性のトレンドとしてではなく、商品選択のひとつとして根付いていくそんな価値観を可視化出来るようなZINE(雑誌)などを定期的に作って発信していきたいです。
小さな空間で、パワフルに変化し続ける
一点モノの古着を扱っていることもあり、お店のディスプレイやアイテムも流動的。過去には陶芸作家とのコラボやワンピースだけを100着集めたフェアなども実施したりと、小さな規模にも関わらず、変化に富んでいてパワフルなお店なので何度訪れても飽きることなく楽しめます。
今後もキッズのヴィンテージの取り扱いや国内外のブランドによるポップアップイベントのほか、アーティストの作品の展示・物販などさまざまなイベントを企画中。今年中にECサイトも再開して古着の販路を拡大するらしいので、乞うご期待!
井の頭通りに堂々と面していて、店内の空間すべてがショーケースのようなMilli Vintage。通りががりに「なんかありそう」とピンと感じたときは、ぜひお店に入ってみて。あなたにピッタリな一着との出会いが待っているはず。
Milli Vintage(ミリヴィンテージ)(2023年3月26日閉店)
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-9-14
お問い合わせ :info@millivintage.com
営業時間:13:00-20:00(火・木)/ 13:00-19:00(金・土)
定休日:月
HP / Instagram
※新型コロナウイルス感染拡大防止にともない、現在は時間を短縮して営業中。
営業時間:14:00-19:00(火〜金)/ 13:00-18:00 (土・日)
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