NY発、芯から深く、そして隅々まで身体を動かす運動メソッド
「あのお店のアレ」があるから、代々木上原に行きたい!暮らしたい!とおもえる名物をご紹介する、連載企画 第22回目。
今回は「LE CAFE DU BONBON」久保田さんのおすすめで、「 Studio Naturalflow(スタジオナチュラルフロー)」の「ジャイロトニック®」をご紹介します。
まずは、久保田さんからのコメントをどうぞ!
「習い事つながりで、代々木公園そばにあるスタジオ ナチュラルフローがおすすめです。ヨガやピラティス、太極拳などを取り入れたジャイロトニック®というNY発のエクササイズを日本でいちはやく取り入れたスタジオで、体幹や筋膜など身体のあらゆる部分を動かすことで、身体のバランスを整えることができるというもの。アスリートやダンサー、役者の方なども通われていて、私自身もここに通いはじめて整体いらずになりました」ーLA CAFE DU BONBON 久保田由希さん
「スタジオナチュラルフロー」は代々木八幡駅から徒歩5分。代々木公園に面した井の頭通り沿いにあります(MAP)。隣接するビルとあわせて計3つのフロアがあります。
>>コースなどの詳細はコチラ
今回お話を聞かせていただいたのは「スタジオナチュラルフロー」の代表、井上朱実さん。アメリカ・カリフォルニアでジャイロキネシス® /ジャイロトニック®を学んだ、認定マスタートレーナーです。
バレエダンサーが開発した、運動メソッド
まずは、「ジャイロトニック®」の成り立ちや特徴について教えていただきました。
「ジャイロトニック®を考案したのは、ルーマニアのバレエ団でプリンシパルも務めた経験を持つ元ダンサーのジュリオ・ホバス氏です。高いパフォーマンスを追求するなかで身体は故障を繰り返すようになってしまい、その故障を克服するべく、水泳、ヨガ、気功、太極拳などさまざまなボディワークをダンサー仲間と一緒に探求していったそうです」
「元々高い身体機能を持っていることが災いしたであろうと感じるのですが、若かりしダンサーだった頃はもちろんのこと、様々なボディワーク探求の過程においても、つい見た目のパフォーマンス追求に走ってしまうことで無意識に自身の身体に無理を強いるような動かし方をしていたということを、ホバス氏から直接伺ったこともあります」
Juliu Horvath on Life, Nature and GYROTONIC®
「3箇所のヘルニアの悪化から寝たきりとなり歩行することも難しい状況となってしまった期間は、彼にとって、それまで研究してきたさまざまなボディワークから選りすぐりの動きと深い呼吸法とを組み合わたものを実践し、自身の回復に繋げる事実上の修行となりました。身体に優しく、けれども深く作用するアプローチとしてのムーブメントを探求せざるを得なかったというこの貴重な経験により、寝たきりだった状態から再び健やかに動ける身体を取り戻すことができたんです」
The GYROKINESIS® Method
「そんな彼の周囲にはいつの間にか怪我からの復帰を目指してムーブメントを研究するダンサーが集まり、愛好者によるコミュニティができ、まず最初に編み出されたたものがフロアエキササイズの『Yoga for Dancers®︎(ダンサーのためのヨガ)』です。それが徐々に、効率的に身体に作用するムーブメント・システムとして発展し、より簡素化され誰にでもトライできるエキササイズとなったのが現在のジャイロキネシス®です。」
ジャイロキネシス®は椅子に座った状態での簡単なマッサージから、徐々に体を丸めたり反ったり捻ったりしながら背骨を中心とした動きを繰り返し、カラダをほぐし関節を整え、フロア(床)でのエクササイズを行う。大半の動きにおいて、辛いポーズを長時間維持することもないので「がまんする」「頑張る」必要がなく、運動が苦手な人でも実践しやすいのがポイント。筋トレなど運動のウォームアップ/クールダウンとしても応用できる。受講費はグループクラス1回で3,000円。
「『Yoga for Dancers®(ダンサーのためのヨガ)』をベースにしたフロアで行うエキササイズのジャイロキネシス®に対して、”特別に開発されたマシン”を活用することでより身体の機能や可能性を引き出すためのメソッドとして考案されたのがジャイロトニック®です」
ジャイロトニック®でもっとも広く活用される、タワーとベンチが一体となった「ジャイロトニック・プーリータワー・コンビーネーションユニット」。こちらを用いて、背骨を中心に身体のあらゆるパーツを動かすのだそうです
そのほか、「スタジオナチュラルフロー」にはアーチ型のユニットや、レッグエクステンションユニット、ジャンピングスライドボード、レッグトナーなどさまざまなマシンが揃っています
こちらがジャンピングスライドボード。「スタジオナチュラルフロー」では、ジャイロトニック®本部の要請により、マシンの輸入販売も行っているそう
ジャイロトニック®の特徴とは?
続けて、ジャイロトニック®は他のエクササイズとどのように異なるのか、について教えていただきました。
「《ジャイロ》は《円・らせん》という意味なのですが、円やらせんを描くように曲線的な動きを繰り返すところや、3次元の方向性を持ち、常に相反する力の向きや体内感覚を意識した動きで構成されているところが他の運動メソッドと、大きくちがうところだと感じています。
また、筋肉や骨だけでなく、内蔵やそれらを覆う膜、神経系などの軟部組織に至るまで身体のあらゆる部分を動かすこと、またそれを意図して動こうとすること、そのようにガイドすることを大切にしたメソッドです。すべてを動かすことで、身体に様々な刺激が入力され、それが退化を防ぐことに繋がり、各パーツが持っている本来のポテンシャルを引き出します」
ジムにあるレッグカールマシン(脚の筋肉を鍛えるための器具)と見た目はほぼ同じながら、可動部分をよくよく眺めると複雑な構造で、膝、足首の関節やアキレス腱の動きがより負担の少ない健やかなものとなるよう、動く人が自ら意識して運動できるような繊細な工夫がなされている
ーなぜ、回したり捻ったり、曲線的な動きが多いのでしょうか?
「たとえば、地面に落ちているものを拾うというような動作を思い浮かべていただくとわかるのですが、腕だけをまっすぐ下ろすというより、腕も体幹そのものも少しずつ捻るような動きになりますよね。人の動きは、直線的ではなく螺旋的であるということに基づいて、身体を捻るような動きが多くなっています」
ーそれらの動きを「繰り返す」ことも大事なポイントでしょうか?
「人の脳って身体から発せられる信号を受け取るのに少し時間差があるんですね。特に日頃動かしていない部分からの信号は、なかなかキャッチできないようになっているんです。動作を繰り返して身体に学習させることで、眠っていた回路が機能復活し、徐々に身体の調子が整ったり、継続の結果としてパフォーマンスが向上するという仕組みです」
実際にプライベートクラスを受講している様子を見学&体験!
ーこちらは今、どのような動きを行っているのでしょうか?
「ひざのところにストラップをつけ、ひざ関節を伸ばしていくときに脚の背面側に負荷がかかるようになっているんです。上から引っ張り上げられるような負荷の方向性により、このポジションにおける足踏みのような動きでは、身体の中心から足裏を床に向かって降ろしていく動きを反復しています。
歩行の際、ひざをすこし後ろに押してしまうことで関節そのものに負担をかけてしまう方が多いのですが、この負荷によりひざを後ろに押しにくい環境を造り、中心からの力を後ろではなく真下に降ろすことを意識づけることが可能です。この意識的な動きを体で覚えていくことで、重力のサポートを受けやすい動かし方が身につき、より楽に歩けるようになるんですね。ひざを故障することも少なくなります」
ジムにあるようなマシンと同じく、動きやレベルに応じて重さを調整できるようになっている
「自重をつかうヨガやピラティス、ジャイロキネシス®もそうですけど、自重だけだと重力にまけてしまって、身体に余計な負担がかかってしまうという落とし穴があるんです。
身体のなかで滅多に動かせていないパーツがあると、そういったところはどうしても”休眠モード”のままとなる一方で、無意識のうちに特定の部位ばかり動く傾向になりかねません。マシンを使うと、負荷によって自分では思ってもみなかったいい方向や、新しい感覚をつかみやすくなります」
後ほど同じものを試させてもらったのですが、こちらの写真の動きは、普段何気なくこなしている足踏みや、左右の足を上下させる動作を繰り返すだけなのですが、重りをつけることで普段歩いているのと全くちがう感覚で、これまで感じたことのないような筋肉が刺激されているようでした。10回に1回くらい、すっと足が下ろせる感覚ががあって、そのときはトレーナーの方が「そう、今の感覚です」と言ってくれる。単純に見えて奥深い…!
ベンチを使った体幹のらせんの動きも試させてもらいました。身体の中心から前後両方向への引き合いを意識しながら、ゆっくりと背骨から前のめりになって戻る、の繰り返し。背骨や肩甲骨がぐるぐると動いて、気持ちいいのと、器具も動きも新鮮で楽しい。
井上さんが2003年に「スタジオナチュラルフロー」をはじめるきっかけとなった、ハンドメイドでつくられたコンビネーションユニット。趣味で没頭していたジャズダンスのパフォーマンスを高めるため、当時まだ日本に上陸していなかったピラティスを学ぶため集中コースをアメリカ、カリフォルニアで受講。続けて同スタジオで、ジャイロキネシス®とジャイロトニック®の集中コースを受講した際、「考案者自身の手によるハンドメイド版を購入できるラストのチャンス。購入希望者は?」と当時コース担当だったジャイロトニックのマスタートレーナーに促され、勢いでサインナップ。後日日本に届いたものの置き場がなく、所属していたフィットネスクラブの端っこを間借りする形でこのマシンを設置し、ジャイロトニック®のプライベート指導を開始。3年後にこちらのビルに入居させてもらえるご縁があり、この一室でジャイロトニックとピラティスのプライベートクラスを提供するようになったのが今のスタジオのはじまりなのだそう。
ージャイロトニック®を受講されているのはどのような方が多いですか?
「主に女性が多いのですが、もちろん男性もいらっしゃり、世代も様々です。日常生活の身体の動かし方が改善されて行きますので、お客様からはよく”身体がシャキッと楽になる。日常そのものが楽になる”というお声をいただいてます。
それからダンサーやアスリート、役者やボーカリストなど、身体を動かすお仕事をなさる方やアーティストの方も多くいらっしゃいます。身体を思い通りに動かしやすくなった、声を出しやすくなった等のフィードバックをよくいただきます」
メンズ的には、木材をベースにさまざまな素材が組み合わさっているこの造形にも萌えます
動くことは、生きること
最後に、井上さんはジャイロトニック®やジャイロキネシス®のベースになっている考え方についても教えてくれました。
「考案したホバス氏がよく”動くことは生きること”だと言っていて。私も共感しているのですが、本来人間も、他の動物と同じで”動く”ための身体の構造になっているんですね。食べ物のための狩りや農作を自分で行う必要のない現代では、特に都会人の間でどんどん身体を動かす機会が減っています。『座りっぱなしは第二の喫煙』といわれるほど、動くことの少ない生活は身体にさまざまな弊害をもたらしています。もっと身体を動かしましょう!意図を持って隅々まで動かしましょう!という考え方がジャイロトニック®のベースにあります」
実際、日常生活を振り返ると、一日のほとんどを椅子に座りっぱなしだったり、運動しなきゃ、と思っても、何をやっていいのかわからない、、と結局なにもできていない方も多いはず。(少なくともこの記事を書いている筆者がまさにそれです)
身体をバリバリ動かすプロの方はもちろん、ドイツの病院ではリハビリテーションの一環としてジャイロトニック®のエキササイズが運動処方メニューに取り入れられているそうです。運動まったくしてない!ヤバい!という人にとっても、いうなれば万人が体感してみるとよいエクササイズだと思いました。
>>スタジオナチュラルフローでジャイロキネシス®やジャイロトニック®、ピラティスを受講したい!という方はWEBサイトをぜひチェックしてみてください
Studio Naturalflow
【住所】東京都渋谷区富ヶ谷1-11-12 3・4階 / 東京都渋谷区富ヶ谷1-10-2 5階
【WEB】http://studionaturalflow.com
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