-こちらのお店は現在閉店しております-
代々木上原にお茶専門のショップ兼カフェがオープン。コーヒーのようにお茶を気軽に楽しめるラテ
「あのお店のアレ」があるから、代々木上原に行きたい! 暮らしたい! と思う名物をピンポイントでご紹介する連載企画第24回。
今回は、2018年8月にオープンしたばかりのカフェ東京和茶房の「ほうじ茶ラテ」をご紹介します。
航研通りの花屋ex. flowershop & laboratoryから東北沢駅に向かう道の途中に東京和茶房はあります。
扉を開けるとすぐにお茶を焙煎する豊かな香りに包まれます。
焙煎機
そしてカウンターに並ぶ水出し茶の美しいこと。透き通ったイエロー・オレンジ・ブラウンのボトルはお茶と言われない限りそうだとわからないほど。
左から煎茶、「LIGHT」「MEDIUM」「DEEP」のほうじ茶
この美しいグラデーション、実はすべて同じほうじ茶なんです。「LIGHT」「MEDIUM」「DEEP」と3段階の焙煎を行うことにより、色と味わいがここまで変わるというわけ。
「LIGHT」はコーヒー豆で言うところの浅煎り。煎茶の旨味と香ばしさをキープしながら、とにかくクリアで軽い口当たり。お茶の渋味が苦手な方も気軽に飲むことができます。「MEDIUM」はいわゆる中煎り。香りと甘みのバランスが良く、お茶といえばこれ!というスタンダートな味わい。「DEEP」は深煎りにあたり、極限まで焙煎することで、コーヒーのような深いコクを生み出しています。お茶好き、もしくはコーヒーに慣れ親しんでいる方におすすめです。
こちらはすべて試飲ができるそうです。
オーダーが入ってから1杯ずつお茶を淹れてくれます
そしてお店の一番人気がほうじ茶ラテ。店内でいただくときはガラスのカップに入っていて、見た目はまさにカフェラテのよう。写真ではお伝えできないのが残念なのですが、今ここではお茶の芳しい香りが立ち上っています!
一口いただくと、ほうじ茶の香りが鼻を抜けていく。「DEEP」の茶葉の特徴である深いコクがミルクに包まれ、優しくかつしっかりと口の中に広がります。茶葉をふんだんに使用しているため、マドラーでかき混ぜながら飲むと最初から最後まで濃厚なお茶の風味を味わうことができます。
単品でのオーダーでも、クッキーやドライフルーツなどのお茶菓子が付いてきます。ほうじ茶ラテと一緒にいただくことでそのマリアージュを楽しむことができるため、お茶の味わい方の幅がさらに広がる。お菓子ももちろん店頭でお求めいただけます。
お茶の魅力を知ってもらうための店として。
フードプランナーの清川惠美子さんが「もっと気軽に、日常的にお茶を飲んでほしい」と立ち上げたブランド兼ショップ、東京和茶房。売場で焙煎したお茶を販売もしており、併設のカフェスペースでは、焙煎したてのほうじ茶を使用したドリンクやスイーツのメニューを提供しています。
奥のカフェスペースは8席ほど
打ちっぱなしのコンクリートとウッド調の内装で、モダンとナチュラルが共存した空間。
大きく取られた窓からは光が差し込み、隣の東京大学駒場キャンパスがちょっとした借景にも。無料のWi-Fiも完備しており、美味しいお茶とともについ何時間も長居してしまいそう。
店に並ぶ商品は、煎茶・ほうじ茶・和紅茶・和烏龍茶、レモングラスなど約10種類で、京都府、宮崎県、静岡県などの生産者から仕入れています。茶葉ごとに茶葉のみのパック、ティーバッグ、缶入りがあり、普段遣いにもギフトにもおすすめです。
パッケージはイエロー、グリーン、オレンジ、ブルーと色分けされており、それぞれ焙煎茶、緑茶、発酵茶、ハーブティーとなっているからわかりやすい。「普段あまりお茶を飲まない方にもこの店を入門にしてお茶の魅力を知ってもらえたら」という思いがデザインでも表現されています。
ギフト向けのお茶缶。一つ一つ手詰めしています
それぞれのお茶の特徴はコメントとチャートで分かりやすく説明
ちなみに、東京和茶房のロゴはティーカップに「東京」の「T」と「和茶房」の「W」を組み合わせ、ティーバッグを表現しています。ティーバッグなら誰でも簡単にお茶を淹れられるから、とのこと。
ロゴを使用したショップカードと、ロゴから展開されたパッケージデザイン
お茶菓子や店内で食べられるスイーツにもたっぷりお茶が使われています。その豊かな風味が美味しさの秘訣であり、お茶の栄養も摂ることができるから一石二鳥。お好みの茶葉とお茶菓子で合わせたギフトセットをカスタマイズすることもできます。
お茶の美味しさを生かした焼菓子。チーズや唐辛子、山椒など意外な組み合わせも
ギフトパッケージは組み合わせ自由
先ほどほうじ茶ラテと一緒にいただいたドライフルーツは「sono mama FRUIT」のもの。ノンフライ、ノンシュガー、無添加なのに色鮮やかで甘い。お茶に浮かべて数分待ち、フルーツティーのように飲むのも美味しいそうです。
〈東京和茶房・清川惠美子さんに一問一答〉
ブランドの代表であり、店長の清川惠美子さんにお話を伺いました。
――ブランドとお店を始めたきっかけを教えていただけますか?
もともとフードプランナーとして活動してきたのですが、百貨店の仕事に関わったとき、お茶農家さんとお話しする機会があったんです。ペットボトルのお茶は売れているけど、茶葉自体が売れなくなってきて、お茶屋さんはどんどん減ってきているし、農園も後継者不足が深刻だと。今じゃ急須がないご家庭も珍しくないですよね。
だから普段からお茶を飲めるようなブランドがあれば、もっと消費が上がって産地も潤っていくんじゃないかと思ったんです。それと、お茶の美味しさをたくさんの方に知っていただけたらということで、仰々しい形ではなくもっと気軽に、コーヒーのようにお茶を飲めるブランドを立ち上げました。
――ブランドやお店のコンセプトは?
お茶を普段から飲んでいただきたいので、入門編としてのお茶づくり、売場づくりを心がけています。お茶は渋み・苦味をあまり出さないことで飲みやすく、うまみや甘みをすぐに感じてもらえるように仕上げていますし、居心地の良い空間はコーヒーショップを参考にしました。東京和茶房を入口に興味を持っていただいて、ゆくゆくはお茶の専門店などのお茶を飲んでいただきたいですね。
――清川さんの思う、お茶の魅力とは。
香りの効能でリラックスできるというのが一番大きいかもしれません。でも、香り成分は600種類あると言われていて、いろんな効能があるそうなのですが、まだ研究途中なんです。日常的に飲むことで花粉症や風邪の予防にもつながるので、身体に良いということも魅力だと思います。
――出店を代々木上原に決めた理由は?
このビルがすごく素敵だったこともあるんですけど、この地域には幅広い世代の方々が暮らしているんです。昔から住んでいる方もいれば、最近は若いご家族も多くて。私は特にお子さまに小さい頃からお茶を飲んでいただきたいんです。ほうじ茶は焙煎することでカフェインも少なくなっていますし、何よりオーガニックを中心に品揃えしているので。小さい頃から身近にある存在で、大きくなったときに興味を持っていただけたら嬉しいですね。昔のお茶屋さんのように、本当に気軽で日常的に来ていただけるようなお店になれればいいなと思っています。
〈東京和茶房、ランチ始めました〉
東京和茶房では、12:00からお茶づくしのランチセットがいただけます。おにぎりには煎茶が入っており、肉団子の豚汁にはなんとほうじ茶が使われています。
おにぎり2種と豚汁のランチセット
ドリンクは5種類のお茶から好きなものを選ぶことができるので、その日の気分に合わせて。今回は、和烏龍茶を飲んでみました。普段飲む烏龍茶によりも味はやわらかく、日本茶らしい爽やかさも感じられて飲みやすかったです。
ホットの和烏龍茶
ランチは重すぎず軽すぎないボリュームなので、別腹でスイーツも。ほうじ茶プリン、スコーンもあわせてどうぞ。
ほうじ茶をたっぷり使ったほうじ茶プリン
ほうじ茶を使った2種類のスコーンやほうじ茶ブラウニー
編集後記
金沢生まれで小さい頃から加賀棒茶に慣れ親しんできた筆者にとっては、お茶専門カフェの存在はとても嬉しいものでした。お茶が好きなのにこれといったものが身近で買えず(飲めず)、諦めていた部分がありましたが、東京和茶房に心から感謝したいです。取材中もお茶の香りに包まれて終始心も身体も癒やされっぱなしで、本当に帰りたくなかった(Wi-Fiもあるし)……。
カフェでありショップであるということは、気に入ったものを買って誰かにプレゼントすることもできる。お茶を少しずつ周りの人たちにも広げていきたいなと、お茶宣教師になることを心に誓ったのでした。
〈SHOP INFORMATION〉
東京和茶房 (2022年12月28日閉店)
住所:東京都目黒区駒場4丁目6-2 Y-5 YAMAGATAYA 1F
電話:03-6407-0622
営業時間:11:00 – 19:00 月曜定休
URL:https://www.tokyowasabo.com/
Instagram:@tokyowasabo
Facebookページ:東京和茶房
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