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ウェルファンカフェの「シェリー」【あのお店のアレ vol.8】

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-こちらのお店は移転オープンしています-

120種類以上のシェリーと、絶品のスペイン・ポルトガル料理

その街を訪れる理由になる、たったひとつの何か。好きなひとがいること。おいしいごはんがあること。面白い話がきけること。新しい何かに出会えること。
そんな何かが、たったひとつでもあればいい。

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「あのお店の『アレ』」があるから、代々木上原に行きたい、暮らしたい!と思える名物をピンポイントでご紹介する連載企画第8弾。
今回は、ウェルファンカフェの「シェリー」にフォーカス。名物にまつわるストーリーや、その魅力に迫ります。

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ウェルファンカフェは、今年で開店から18年目を迎える、スペインバル。商店街から住宅街へ差し掛かる通りにあります。少し奥まったところにありますが、ネオンサインと店内からの灯りが目印です。

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代々木上原を訪れたら、ぜひとも会っておくべき、と幾度となくお名前を伺っていた、マスターの橋本さん。この日はじめて取材で伺ったのですが、やさしくて底抜けに陽気で、すぐにファンになってしまいました。

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「外、寒かったでしょ?コーヒーはお好きですか?
はい、どうぞ。おいしいコーヒー」
と、まず差し出してくださった1杯のコーヒー。これが驚くべきおいしさで、目を丸くしていると「今朝、自分用に淹れてきたものなんですけど、コーヒーもワインと同じで、少し時間が経ったほうがね、おいしくなるんです」とほほえむ橋本さん。

橋本さんと今回の主役であるシェリーの物語は、コーヒーにまつわるお話からはじまります。

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コーヒーのプロフェッショナルから、バルの先駆者へ

勉強は苦手だったけど、身体だけは丈夫だった、という若き日の橋本さんが最初にのめり込んだのが、コーヒーだったといいます。

「若い頃からコーヒーが大好きで、スタントマンをやりながら、ホテルニューオータニにあるコーヒー専門店で修行をしていたんです。どんどんのめりこんで、店長をやらせてもらって。それから独立に向けて、国内の喫茶店を100軒近くみてまわったのですが、理想とするお店がひとつもない。悶々としながら、海外へ飛んでみたんです」

料理とお酒の勉強をすべく向かったイタリア・ローマで橋本さんが出会ったのは、日本にはまだなかった「バル文化」でした。

「コーヒーを飲んでるひとの隣で、お酒を飲んでるひとがいる。ご飯をたべてる人もいる。これだ!自分がやりたいのは!と感銘を受けて、中野で当時まだ珍しかったバルスタイルのお店をオープンしました。最初は苦労しましたけど、たくさんお客さんにきていただいて。一段落して、2店舗目にひらいたのがここ、ウェルファンカフェなんです」

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NYのバーから、ポルトガル、スペインを巡り、シェリーとの運命の出会いへ

20代の初めごろから、幡ヶ谷に暮らしていたという橋本さん。代々木上原にも馴染みがあり、一帯で物件を探し、ここを見つけたのだそう。

「このお店はね、オープン当初は全く違うスタイルだったんです。ニューヨークのバーを研究して、向こうの場末にあるようなお店をつくりました。照明は暗くして、ローソクと微かな灯りだけ。音楽は、アナログレコード。レコードのいい音でゆっくり飲めるような、そんなお店をつくったんです」

当初のスタイルを気に入るお客さんも多く、すぐに人気のお店になったウェルファンカフェ。しかし活況をよそに、橋本さんは違和感を感じ始めます。

「なんだか、毎日疲れていたんです。おかしいな、理想を詰め込んだ念願の2店舗目なのに、何か行き詰まってるのかな。いろいろ考えて悶々としてたのですが、原因はシンプルに「老眼」でした(笑)照明が暗いでしょ。手元がよく見えないし、肩が凝るんです。40代から老眼になるんだ。こりゃマズいなと」

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その後、ひとつの旅がきっかけで、お店の方向性を一気に大転換! シェリーがお店の中心になり、照明は明るくなり、現在のスタイルへ変貌を遂げます。

「新しい方向性を模索しているとき、テレビに映ったポルトガルの映像に心を奪われて。ちょうど、ポートワインを勉強してみたかったこともあり、すぐに現地へ向かったのですが、ポルトガルはどこか自分にはしっくりこなくて」

「予定を早めに切り上げてスペインに向かったのですが、これが大正解。街に煌々と灯りがともっていて、みんながワイワイ大きな声でしゃべって、楽しくお酒を飲んでいる。一発でやられました。これだ!とおもいました。その空間の中心にあって、スペイン人のみんなが楽しんでいたのが、シェリーでした」

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ウェルファンカフェでは、シェリーが120種類、ポートワインが30種類、あわせて150種類ほどをラインナップ。

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シェリーは、大きな樽のなかでつくられ、潮風の影響で表面に酵母の膜が張っているのが特徴。膜を傷つけないよう「ベネンシア」という細長いひしゃくをつかって、汲み出します。現地の蔵で、樽から汲み出して直接飲むシェリーはこれまた格別に美味しいのだとか。

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橋本さんは、ベネンシアの扱いも達人の域。樽から汲み出すためだけでなく、高いところから空気に触れさせてグラスに注ぐことで、シェリーはよりまろやかになるのだとか。

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ベネンシアの扱いはとても難しく、特訓を重ねた橋本さんも最初の数ヶ月は全然シェリーがグラスに入らず、全然入らないじゃん!とお客さんにいじられつつ、腕を磨いたそう。

 

「おいしくて、身体によくて、たのしい。だから、シェリーをやるんです」

スペインのバルや、お酒の場に欠かせないシェリー。一体どんな魅力があるのでしょうか?そもそもシェリーってどんなお酒? と、基本的なところから、橋本さんはわかりやすく教えてくれました。

「もともとね、シェリーは薬なんです。肝臓の薬。お酒のルーツは大抵が薬だっていいますからね。そもそもシェリーは、スペイン・アンダルシアのごく一部の地域でしかつくられないお酒。海沿いだとね、潮風があたって、膜が張るんです。ここにぶどうの蒸留酒を足してみたところ、肝臓に効く成分が出てきた。これがシェリーの発祥です」

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「不思議とね、たくさん飲んでも、二日酔いにならないんです。おまけにワインとちがって、亜鉛が含まれている。男性が元気になる成分ですね。イベリコ豚も亜鉛ですから。せっかくなら楽しく飲んで、元気になってもらいたい。シェリーってお酒は、いいこと尽くしなんです」

 

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食前酒〜食事のお供〜デザートとしてのシェリーまで。辛口から極甘口まで120種類

度数は15度〜20度と高いのに、たくさん飲んでも、二日酔いにならない。そんな夢のようなお酒があるのですか!と興奮しているところに、橋本さんのさらなるシェリートークが畳み掛けます。

「シェリーはね、食事と一緒にたのしむと何十倍もおいしいですよ。もともとスペインやポルトガルの食文化って日本と似ていますから。立ち飲みのバルにいくと、海老のかき揚げが出てきたりします。天ぷらはそこからやってきてるわけですね。おじやの語源も、ポルトガルのオジャというリゾットだといわれています。魚介系には辛口のシェリーがあいますから、アンチョビと一緒にシェリーのむと、10倍おいしいですよ。生ハムには、コクのある茶色いシェリーがあいます。ここでは食事を先に選んでもらえたら、それに合うシェリーをおすすめできますから。甘口といってもすっきりしたものから、トロットロの極甘口までたくさんあります」

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あとで一部をご紹介しますが、橋本さんのつくるスペイン・ポルトガル料理は現地のレストランやバルに通い、シェフやその家族と仲良くなり、レシピを習い体得してきたもの。同業者や著名人のファンも多く、どれも絶品です。まずはお料理を選べば、それに合うシェリーを橋本さんがチョイスしてくれます。

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はじめてのシェリー、おすすめの1本

はじめてウェルファンカフェを訪れる人、シェリーにあまり馴染みがない人に、おすすめの種類を伺いました。

「とってもおいしくて、私もいつも飲んでいるのが、海の目の前の「サンルーカル・デ・バラメダ」というまちでつくられている「マンサニージャ」。
マンサーナというのが、リンゴという意味で、ぶどうでつくられているのに、なぜかリンゴのような風味がでていることから名付けられています。さわやかで、ふくよかで、ワインとの違いも体感できるのでおすすめです。魚介とも抜群にあいます」

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口に含んだ途端に、ほのかな甘みと、鼻いっぱいに豊かな香りがひろがります。芳醇なのにさっぱり。「シェリーってこんなにおいしいんですか!」と叫びたくなるほどおいしい。

 

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ちがいがわかる、もう1本

シェリーは、その製法から色合いも味わいも、とにかく種類が豊富。もう1本、違うタイプのおすすめを出していただきました。

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「こちらは食後、デザートとしても楽しんでもらえるような甘いタイプのシェリー。「バルバディージョ」というメーカーで、「モスカテル」と書いてあるのは、マスカットの意味です。白ぶどうを天日干しして糖度を上げて、絞る。トローっとしてて、おいしいですよ」

<ほかにも、ここがすごいよウェルファンカフェ>

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20時までに入店したお客さんは、ハッピアワーとしてオリーブと焼き立てパンが食べ放題。20時以降も、300円でオリーブ食べ放題。通常のタイプと、大きい瓶の方はにんにく入り。このオリーブだけでもめちゃくちゃお酒がすすみます。

玉子アンチョビ ¥250

数あるピンチョスのなかでも、いちばんの人気メニュー。シェリーのお供に。

 

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パエリア – 魚介スタンダードミックス ¥1500

現地のおいしいレストランやバルに朝晩何度も通い、シェフと親交を深め、レシピを教わり体得したスペイン・ポルトガル料理。そこからさらに独自のアレンジを加えた至極のパエリア。

他にも、ポルトガルのスープ&麺料理である「チャルメラ」や、5000円以上利用したお客さんに特別にサービスされる、お手製のチーズケーキ(ありえないほど美味しい)など、すべてが名物で構成されているといっても過言ではないウェルファンカフェ。

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今回は書ききれていませんが、橋本さんがスペインをめぐるなかで出来た友人のこと、自宅に招いてくれてずっとお付き合いのある家族のことを、うれしそうに話す姿がとても印象的でした。

「スペイン人は、とにかく人が素晴らしい。おせっかいなくらい陽気で、親切です」といっていて、それって橋本さんのことじゃないか、と思いました。全身で、現地での感動と出会いを受け止めてきたからこそ、橋本さんという人を通じて、シェリーの魅力、スペインのバル文化の良さが詰め込まれたウェルファンカフェ。旅をするような気持ちで、ぜひ訪れてみてください。


Welfun Cafe(ウェルファンカフェ)

【新住所】東京都渋谷区西原3丁目24−1 アムール代々木上原 101号(2024年7月8日より)
【旧住所】渋谷区西原3-24-12 岡部ビル1F(2022年6月28日まで)
【電話】03-6804-8171
【営業時間】18:00〜25:00
【定休日】水曜日・日曜日
【WEB】Facebook / Instagram

 

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